壮大なオーケストラで聴くドラゴンクエストの世界 すぎやまこういち 交響組曲ドラゴンクエストVI 幻の大地

 昨年の9月にドラクエコンサート「壮大なオーケストラで聴くドラゴンクエストの世界 すぎやまこういち 交響組曲ドラゴンクエストVI 幻の大地」が新潟で開催されたので参加した時の思い出話を。

 指揮は前回の5と同じく大井剛史さん、演奏は食と温泉のオーケストラ・山形交響楽団のみなさんでした。

 

 プログラムはこちら。

◆序曲のマーチ

◆王宮にて

◆木漏れ日の中で~ハッピーハミング~ぬくもりの里に~フォークダンス~木漏れ日の中で

◆さすらいのテーマ~静寂に漂う~もう一つの世界

◆迷いの塔

◆ペガサス~精霊の冠

◆悪のモチーフ~ムドーの城~戦慄のとき~ムドーの城

◆勇気ある戦い~敢然と立ち向かう

 休憩

◆悲しみのとき

◆奇蹟のオカリナ~神に祈りを~奇蹟のオカリナ

エーゲ海に船出して

◆空飛ぶベッド

◆暗闇にひびく足音~ラストダンジョン~暗闇にひびく足音

◆魔物出現

◆魔王との対決

◆時の子守唄

 アンコール

過ぎ去りし時を求めて

交響組曲ドラゴンクエストXI過ぎ去りし時を求めて より

 

 今回もアンコールは11の「過ぎ去りし時を求めて」でした。プログラムは四角からダイヤ型になっていました。それから、2023年はコロナウィルスに関する諸注意がプログラムには書かれていなかったんですがやはり5類移行の絡みか。

 そして大井さんの宣材写真が去年はタキシードでしたが今年は黒のハイネックになっていました。

 開始前の音出しでは悪のモチーフがちらほら。大井剛史さんが登場し「指揮とお話」と自己紹介されてましたが実際トークもすごく楽しかったですね。大井さんは拍手に包まれて登壇されたことから「こんなに拍手をもらえてなにわ男子になった気分です」とお話されたのが面白かったです(笑)。その時はこんな騒動になるなんて思ってなかったけど…。

 話を戻してここから演奏スタート。序曲のマーチは何度聴いても素晴らしかったです、特に天空ファンファーレが本当に好きで。また、オリジナル版の6の序曲のマーチのサウンドは華やかさとかっこよさがすごいんです。スーファミ限定なのが惜しまれる。お城の曲「王宮にて」はリアルタイム当時から好きな曲なんですよね。あの力強さ、哀愁がたまらない。おかげでセーブするときはこの曲が流れる場所にこだわったりも。

 大井さんの好き曲はフォークダンス。お祭りで流れる曲ですね。最序盤でお使いを終えて帰ってきた後に聴いてすごい胸にしみたのを思い出します。ほのぼのして癒される名曲です。花火が上がる場面が好きとのことで「幸せなシーンで流れる」と。町の曲「木漏れ日の中で」はライフコッドの自宅を出た後本当に木漏れ日が光る演出があるんですがこれは本当に素敵!

 現実の世界、夢の世界、海底世界のフィールド曲三曲は実際同じ曲で、テンポを変えることによって違いを表現しているとのこと。ところで最初は「上の世界/幻の大地」で区別してたんですが終盤ではどんでん返し、「夢の世界/現実の世界」なんですよね。
 「精霊の冠」は6の中でもかなり好きです。あのほわっとした雰囲気と優しくも物悲しさあふれる曲に癒されたり泣かされたりしています。
 「悪のモチーフ」は6の音楽において何度も使われてますね。かの『題名のない音楽会』で「モチーフ」の解説があったことを思い出します。「敢然と立ち向かう」はムドー戦。ゲーム中一度しか流れないのもありますが大一番の戦いが本当に熱い熱い。絶対に負けるかという気持ちを煽られるのですが…最初はムドーが強すぎて負けバトルと勘違いしてた(笑)。今は一発で挑んでも勝てるようになりましたが。

 

 お話タイム。ゲーム音楽をオーケストラで表現するにあたって難しいのは「テンポ」らしいです。生活音は少しずつテンポが変わったりしますがゲーム音楽は一定であり、例えば雨の日だから早くなったりはしないと。また、RPGは一つの音楽を長く聴く、とも。これはすぎやまこういちさんの言う「聴き減りのしない音楽」に通じますね。

 また、生演奏と違ってゲーム内で流れる音楽は常に一定のリズム、高低であるというのは『ファイナルファンタジーVI』サントラのブックレットで植松伸夫さんも語られてましたね。やはりゲーム音楽の巨匠は通じるものがあるのか。

 2018年に山形で演奏した時すぎやまこういちさんが指導にいらっしゃったそうです。4月29日に最後の練習中アドバイスをしてもらい、あわあわ船の曲の「ぽわっ」音にこだわったお話も。3の「そして伝説へ」でタンタラタタン(転調部分)は弾ませて飛ばさないでと言われたそうで先生の教えを守っていると。

 

 休憩後のお話で「素晴らしいホール」と会場を褒めてくれたのでケンミンとして鼻が高い。すぎやまこういちさんはゲーム音楽は知っているけどオーケストラの知識がない人にドラクエの生オケを通してオーケストラに興味を持ってもらうのが夢だったそうです。秋の告知もありましたが2023年9~11月のものだったので割愛。木梨憲武さんもオーケストラをされるというお話は初耳でした。

 大井さんのドラクエ6のお話も。最初に出たのはスーパーファミコン。大井さんはデスタムーアデスピサロエスタークと魔王の名前がこんがらがる事態に。3DSで遊んだというお話ですがDS版を3DSで遊んだってことかな?転職繰り返して強くしようと思って強化を繰り返しているうちにほったらかしてしまったそうです。強化に力入れてると積んでしまうのはわかりますね(笑)。ブレワイもティアキンもそんなです(笑)。

 大井さんのそのデータの主人公の名前は「ロット」で、勇者ロトのもじりだとか。かなりセンスがいいですね、ロットと聞くと『ファイアーエムブレム 封印の剣』の戦士を思い出します。DS以降は主人公には「レック」という名前がつきましたが「おもいだす」を使うことから「おぼえる」→RECをとんちをきかせてレックにしたと思ってたんですよね。6だからロック→レックと思ったりもしましたが「レイドック」の略称が有力な線かと。

 でもってコンサート前に見返したロットはスーパースターの星3「デビュー」で、ハッサンはパラディンの星8、ミレーユ魔法戦士の星6だったそうでゴールドは使い込んで少なかったそうでした。大井さんの教訓ではRPGは時間を開けずにやりきった方がいいと。最後にクリア後は隠しダンジョンがあり、4や5との天空三部作とのつながりが明らかになるとも。確かこれはリメイク以降でしたね。

 

 後半戦の曲ではまず「エーゲ海に船出して」。ドラクエシリーズの海の曲で一番好きです。最初は雄大なんですが途中から軽快になるパートがお気に入りで、どこか航海が軌道に乗ったからちょっと宴会でもというような明るさがあります。

 「空飛ぶベッド」も大好き。本当に空飛ぶベッドは欲しいです(笑)。この曲はシロフォンの音がとてもかわいらしいのですが…自分の席ではシロフォン奏者の人が見えなかった!

 「魔王との対決」に手汗を握ったあとはエンディングの「時の子守唄」。めでたしめでたしで終わったはずなのにどこか物悲しさを感じるのが印象的です。それでもこの後の天空三部作の広がりを思わせるような壮大さには圧倒されました。一番小さい音でラストというのがこだわり。ゲームだとこの後は序曲のマーチから「The End」に続くんですよね。

 エンディングではなんと来年も開催が決まったという嬉しいお知らせ。タイトルは未定とのことです。大井さん来られるなら嬉しい。11までやりきりたいそうで「音の航海」と語ってました。

 アンコールは2022年と同じくドラクエ11から「過ぎ去りし時を求めて」。やはり豪華な曲でした。新たなロト伝説を思わせる壮大さ。

 

 2020年頃から毎年開催されていたから今年もと思い常にBSNのCMはチェックしていましたが見事にキャッチできてよかった。ドラクエ6スーファミ版をクリスマスにもらえたのが思い出であり、めちゃくちゃ夢中になりましたね。

 子供心に大地の大穴の先にある世界だとか夢を実体化した世界とか本当にワクワクしましたし。好きなところを聞かれると「小学生の時のあの心で夢中になったから」というのが一番の回答になります。

 5と6が双璧だから5に続いて6でもコンサートに参加できたことが本当にありがたかったですね。ドラクエ6といえば夢と現実二つの世界が特徴、ということで自分も空想と現実どちらが大事ということもなく両方楽しんでいくようなユーモアを持ち合わせ、人生という名の冒険をする勇者のように日々をしっかり楽しく体に気をつけて生きていきたいと思います。

 ちょうど昨年はドラクエコンサートとりももん生誕祭と、地元で救われて遠征でも救われてと少しずつ世の中が戻ってきた感がありましたね。

 

 企画のみなさん、指揮とお話の大井剛史さん、演奏の山形交響楽団のみなさん、そしてドラクエシリーズの音楽の生みの親すぎやまこういちさんに変わらぬ感謝を。